LEDを光らせたいとき、抵抗を直列に接続する必要がある。このとき何オームの抵抗を接続するべきかは電源電圧と使用するLEDによって変動する。その計算方法のメモ
抵抗値の求め方
まずは細かいことはすっ飛ばして計算する方法。
これで納得できればそれでよい
データシートから定格の順電圧、順電流を調べる
LEDのデータシートには定格の電流と電圧が記載されている
上図の場合だ3.1V加えるとで20mA流れて正常に使えますよという意味になる。
では電源電圧が5Vの場合で考えてみよう
直列回路の場合各素子の両端にかかる電圧の和が電源電圧になるので、LEDに3.1V掛けたい場合は抵抗には「5-3.1=1.9V」の電圧がかかることになる。そして直列の場合電流は各素子で一定なので抵抗に流れる電流はも20mA。
そのため抵抗値は「1.9/0.02 = 95」となるので接続するべき抵抗値は95オームとなる。
このようにデータシートをみて定格の順電圧、順電流を設定すれば簡単な計算で問題ない
この計算はデータシートの通りに電圧、電流を設定しないと成り立たない、適当に「何mA流したいな」という願望値を設定しても期待どおりにはならない。詳しくは後述
LED(ダイオードの特性)
さてここから深堀り。上記の内容では腑に落ちない場合は読んでほしい。
LEDを含めてダイオードの電圧と電流の関係は下のグラフのようになる
製品によって違いはあるが基本的にはグラフで示した例のように一定の電圧を超えるまでは電流が流れず、流れ始めると急激に上昇する特性がダイオードの特徴になる。
LEDの場合この電流値が大きいほど明るくなる。そして電流が過大に流れると破損する。安全に使える電圧の目安がさきほどのデータシートの3.1Vであり、グラフの3.1Vのときに流れる電流値が20mAになっている。
ダイオードには抵抗値という特性は無いが図の電圧と電流の関係から、見かけ上は電圧によって抵抗値が変動するという解釈ができる。
抵抗の場合は抵抗値が固定なので電圧が決まれば電流が決まるし、反対に電流が決まれば電圧が決まる。しかしダイオード場合は抵抗値がわからないのでこの特性図が無い限り決められない。
この特性図の存在を知らずにオームの法則だけでダイオードにかかる電圧を求めようとしてもドツボにはまる←僕
抵抗の役目はそれだけではない
さて最初に今回のLEDの場合は95オームで良いという話をした。仮に上記のLEDの特性がわからない状態で95オームの抵抗を直列に接続したときを考えてみよう。
つまりLEDに何Vかかるかわからないという状況になるが、電源電圧は5VのなのでLEDにかかる電圧は0Vから5Vの範囲であることは間違いない。そこで0Vと5vの電流値を求めてみよう。
LEDにかかる電圧が0Vであれば抵抗にかかる電圧は「5-0=5V」なので「5/95 = 0.053A」になる。
LEDに5Vかかるとしたら抵抗にかかる電圧は「5-5=0V」なので「0/95= 0A」になる
これをグラフにすると
このようになる。LEDの特性にかかわらず抵抗を接続することでグラフの緑のラインで電流に制限がかかる。
さてこの状態で先ほどのLEDの特性を重ねてみると
すると3.1v、20mAに交点が来ていることがわかる。つまり抵抗による電流制限のラインと特性のラインの交点が実際に動作する電圧と電流になる。
特性の違うLEDを接続した場合
では製品の精度のバラツキ等で特性が変化した場合をグラフで見てみよう
青色のラインのようにやや左に特性がずれた場合、点Aのとおり約23mAの電流が流れる。しかし抵抗を接続せずに電源電圧3.1vで駆動した場合の電流は点Bのとおり約50mAとなってしまう。これはLEDが破損してしまうレベル。
抵抗の有無でこれほど違ってくる。これなら誤って別メーカーのLEDを差しても破損の危険が少ないといえるし、同じ製品では特性のバラつきはさらに小さいので電流値の差はもっと小さい。電流値の差はすなわちLEDの明るさの差になる。抵抗を入れることで明るさのバラつきも抑えられるというわけだ。
まとめ
- 抵抗を接続することでLEDの動作する電圧にできる
- LEDに接続する抵抗値を求めるためにはデータシートが必要
- 抵抗を接続することでLEDを保護できる
- 抵抗を接続することで明るさのバラつきを抑えられる